思ひで - 鈴木常吉
君が吐いた白い息が
今ゆっくり風に乗って
空に浮かぶ雲の中に
少しずつ消えてゆく
遠く高い空の中で
手を伸ばす白い雲
君が吐いた息を吸って
ぽっかりと浮かんでる
ずっと昔のことのようだね
川面の上を雲が流れる
照り返す日差しを避けて
軒下に眠る犬
思い出もあの 空の中に
少しづつ消えてゆく
この空の向こう側には
もうひとつの青い空
誰もいない空の中に
ぽっかりと浮かぶ雲
少しずつ消えてゆく